遺産を1円も貰えない可能性があったが、弁護士の介入によって1000万円弱の遺産を獲得できた事例
ご依頼者属性:女性(60代)
被相続人との関係:娘
ご依頼者:Aさん
相手方:妹Bさん・妹Cさん
遺言書の有無:有
相続財産
1億円弱(預貯金、不動産など含む)
争点
遺言無効
相談内容(ご相談背景)
被相続人(母)が存命の時は、兄と妹2人は松山市のご実家の近所に住んでおり、ご依頼者であるAさんは東京に在住していました。日頃、母の面倒は兄が見ていました。
Aさんは、お兄さんや妹さん2名が協力して母の面倒を見ていると思っていましたが、母が亡くなり遺産の話し合いをする際に、面倒を見ていたのは兄だけだったことが分かりました。
さらに亡くなった父が建てた収益不動産の名義を、母から妹2人に勝手に名義変更をしていたことも判明しました。
重ねて、遺産は妹2名に全て渡すといった同一内容の遺言書が複数ありました。しかもその筆跡は全て違いました。
勝手に不動産の名義変更をされていたことや、内容が妹にとって有利な遺言が複数かつ筆跡が全く違う形で出てきたことで、怪しいと思い、お兄様と一緒にわざわざ東京から当事務所へお越しいただき、ご依頼になりました。
また、ご相談を進める中で、結果的にお兄様の代理人も受けることになりました。
★この事例は、最初のご依頼者であるAさん目線での記載になっております
弁護士による解決までの対応
上記のご相談を受け、まず下記のように対応いたしました。
今回、ご依頼者様は遺言が無効と主張したいと強く考えられていましたが、仮に有効であった場合は遺留分が問題点となることが明白だったこと、また遺留分請求の期限(時効)が1年であるため、早急に遺留分請求の書面を妹2人に送付しました。しかし、弁護士から書面を送付しましたが相手方の妹2名は書面を無視してきました。
これでは交渉の余地がないと考え、当事務所はすぐに遺産分割調停の申し立てを行いました。
松山の家庭裁判所で行われた調停では、連絡を無視していた妹たちもようやく現れました。
調停でようやく遺言の有効性・無効性について話合いができましたが、当事務所の弱みとしては、お母様の筆跡が異なることの証明として、過去のお母さまの筆跡がある証拠を集めることができていませんでした。なぜなら、お母様が生前お住まいになっていた実家への立ち入りを妹たちが拒否し妨害してきたこと、妹2人が過去のお母様のお手紙や筆跡鑑定に出せるような証拠を全て焼却処分してしまっていたのです。
以上のことから、真っ向から遺言無効で戦うのは難しいと判断し、遺産分割調停で遺産の取り分を争うことにしました。また、収益不動産の名義変更をされていたのは10年以上前だったため、遺産の持ち戻しをさせることもできませんでした。
上記のように色々な状況があり、遺産分割調停では、依頼者が遺産を獲得することが非常に不利な状況に陥っていました。
また、ご依頼者様が当初希望していた遺言無効の裁判を提起していた場合、一切遺産を得られない可能性もありましたが、今回はご依頼された後にすぐ遺留分請求の内容証明を送付していたため、遺留分請求することができ、遺産を獲得することもできました。
結果
そのままにしていた場合、遺産を一切得られない可能性が高かったAさんは約1000万円の遺産を得ることができました。
遺留分請求をせず遺産分割や遺言無効訴訟だけで戦ってしまっていた場合、獲得する遺産が0円になってしまうところでしたが、事前の準備や様々な想定をしたうえで遺留分請求をしていたおかげで、結果的に1000万円弱の遺産を得ることができました。
Aさんも非常に満足されていました。
担当弁護士の所感
Aさんは遺言無効にこだわっていましたが、証拠や背景事情から見ると、そこに固執するのは悪手となり、最悪遺産を得られなくなってしまう可能性があったため、依頼者に様々な可能性を説明し、取れる遺産を確実に取りに行くという戦略をとりました。
その結果、本来1円ももらえない可能性があった遺産を1000万円弱獲得することができました。
遺産の分け方や、使途不明金・不審な遺言など、相続に関して困っている方々は弁護士にご依頼いただければ、ベストな対応や色々な選択肢を提示することが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
九州大学法学部卒業
福岡県弁護士会(平成16年10月~平成19年3月)
愛媛弁護士会(平成19年4月~)
愛媛弁護士会副会長(平成30年4月~令和2年3月)
高松簡易裁判所非常勤裁判官(令和元年10月~令和5年9月)